日本では茶玩という名前が一般的になっている紫砂などで作られた小さな置物です。中国語では「茶宠（茶寵）」といい、茶壺同様コレクション価値の高い品物として知られています。茶玩は、中国で縁起物と考えられているものがほとんどです。茶玩にはユーモラスな造形のものも多くあり、お茶の席を囲む人たちとの場を和やかにする効果や、文化的な息づかいをそれとなく伝える効果もあります。 これは＊殷小平氏の作品で、本作品の原名は「歩埠高昇（次第に出世する、一歩一歩高みを目指す、ステップバイステップ）」。今にも動き出しそうなカエルが少し高いところですぐ近くにある落花生に向かって慎重に、しかし確実に歩み寄っていく姿を精緻に造形した茶寵です。カエルの生き生きとした表情や精緻な作り、岩肌の大胆でかつ自然な表面、落花生の可愛らしさなど、作者の高い技巧と心血を注いだ様子がうかがい知れる逸品です。茶席でお湯やお茶を筆で塗りながら「育てて」いくにつれ、カエル、岩、落花生がより生き生きとした様相を呈していくことでしょう。 ＊殷小平：別名殷暁平としても知られる同氏は、中国江蘇省宜興市の(1)悲鴻画院の上級美術師、鳴縁斎のオーナー。1966年陶磁器の都生まれ。幼い頃から書道と絵画を好み、その後紫砂粘土の花の創作に携わるようになり、特にフラワーアートの巨匠陳明遠作品を愛する。彼は自身のスタイルを創造、独自の美学と思考を組み合わせて造形。彼の作品は「紫玉金砂」や「天地方圓」に何度も掲載されている。紫砂で造形された色々な小品は国内外の著名人や著名な芸術家に彼の多くの作品がコレクションされている。 (1)徐悲鴻(1894-1953) ：中国近代の画家、江蘇省宜興県生まれ。近代中国絵画の巨匠と呼ばれ人気の高い作家。幼少から絵を好み，1917年来日後さらに欧州に留学，デッサンと写実主義絵画を修得する。欧州各国で多くの展覧会を開催し好評を博する。35年帰国し解放後は中央美術学院長に就任し美術教育界に貢献。西洋画的素描に卓越するとともに，雄渾な気迫と豪快な国画的筆力による馬の絵は特に著名である。彼の作品はオークションで数億から数十億円という価格で取引される。 仕様：幅：8cm、高さ：5cm、長さ：11cm 材料：紫砂 全ハンドメイド 専用箱付。